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【書評】雲を掴め、富士通・IBM秘密交渉

【著者】伊集院 丈 [ いじゅういん たけし ]著

【出版】日本経済新聞出版社/日経

日立社員がFBIに逮捕され、手錠をかけられている映像が全米のテレビで流された。逮捕の時点では、容疑者に過ぎない。この見せしめの様な逮捕をテレビで放送するとは、FBI、米国政府の意図的なものが存在すると言えないか。FBIの囮捜査を発端とするIBMスパイ事件は、大きな衝撃を日本人に与えた。日米貿易摩擦が激しい、1982年の初夏のことである。

IBMの本命は、富士通であった。富士通は、IBMの汎用機の互換機を作り、性能も評判も良く、海外まで勢力を拡大しつつあった。成長著しい富士通を何としても、押さえ込みたかったのだ。

最近、IBM-富士通の秘密保持契約が期限を迎え、当時の交渉を元にした小説が日経出版より出版された。本書は、小説の体を取っているが、ほぼ事実に即した内容になっている。登場人物は実在の人物であり、一部の人を除き、その人の言動・果たした役割に基づいて創作されている。また、弁護士事務所を除く会社名や製品名は実名である。富士通の伝説のスター・エンジニア、池田敏雄さんも実名で登場する。著者本人が言うようにフィクションであるのだが、実に生々しく、読み進めるとどんどん引き込まれてしまう。当時の彼らが感じていた緊張感がずしずしと伝わってくるのだ。

この小説の著者は、「伊集院丈」となっているが、実際の著者は、富士通の専務・副会長を歴任した鳴戸道郎氏であり、富士通の裁判チームの中心人物である。

当時、日立製作所、富士通、三菱電機は、IBMの汎用機の互換機を作っていた。日本製の互換機の評判は高く、この頃になると海外市場に打って出るほどに力をつけていた。当時、日本車による貿易摩擦もあり、日本IT企業が市場を席巻することを恐れていた。

IBMは、日本企業(日立、三菱、富士通)がIBMの汎用機の情報を不正に利用していると訴え、囮捜査が始まった。FBIの囮捜査官が日立社員に近づき、日立社員を逮捕することには成功したが、IBMの本命にしていた富士通は捕り逃した。逮捕者を出さなかった富士通は、若干の時間的猶予が与えられ、交渉のテーブルにつく事になった。

本小説では、IBM、富士通のトータルで15年にわたるソフトウエア紛争の最初の1年間を描いている。もし、裁判で負ければ、会社が潰れるかもしれないという切迫した状況の中で、会社の運命を背負って奮闘する姿が描かれている。

著者は、小説で飯を喰っている文書のプロではなく、企業人なので、文章が上手と言う訳ではなく、小説としては粗が目立つが、一気に読める。事実が基になっているため、リアリティがあるのだ。

この本をIT技術者に読んでもらいたい。IT技術者のみならず、海外と交渉事にあたる方々に薦めたい。

本のタイトルとなった「雲を掴め」は、当時産経新聞に連載されていた司馬遼太郎氏の小説「坂の上の雲」を皆が愛読していたからだそうだ。自分達もがんばれば、雲をつかむことさえ出来ると思っていた様だ。



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雲をつかむ 富士通・IBM秘密交渉 日本経済新聞出版社


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雲をつかめ 富士通・IBM秘密交渉 日経
ISBN 978-4-532-31366-1 4-532-31366-X

この文章は、WBS視聴メモの読書感想を本人が推敲し、書き直しました。 [ IBMスパイ事件は,IBM産業スパイ事件 とも言われる ]

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